
開演前の舞台
ラフな私服にウール帽とマスク姿で、ゆっくりゆっくりと曲の和音進行、音色、音楽の作りを1つずつ確かめる音が鳴り響く…
その世界感は静寂
pからpp、ppp、pppp、ppppp…と、どこまでも果てしなく深みへと広がってゆく、美しく冷たく、どこか狂気の沙汰すら感じられるほどの弱音の世界を作り上げてゆく様は、もはや人間の領域から足を1歩外へ踏み出してしまったよう…
今日はポゴレリッチの演奏を聴きに、君津まで行ってきました。
ものすごい美しさと高貴さ、そして近寄りがたい冷たさも感じられたポゴレリッチの演奏。
ペダリングや音の響かせ方を聴けば、その演奏がただの才能のみでつくられたものではないとわかるのですが…
いや、わかるのですが…わかりはするのですが、やはりその才能を感じないわけにはいかない、そんな唯一無二のピアニストでした。
すごい世界をみて、聴いてしまった…
しかも君津で!
帰り道は高速をとばしたら40分かからず、そのまま生徒さんのレッスンへ流れ込み。
自分の音楽をこれほど小さく感じながらのレッスンをしたのは初めてです。
あの音は、言葉ではあらわせません。
是非会場へ足を運んで、ポゴレリッチのpppppの音と静寂の世界を体感することをお勧めいたします。